ロミオは、愛を奏でる。


「なんか、感慨深いな…

同級生が結婚して
子供が生まれて
家族になってて…

この前まで高校生だった気でいたのに
時間経ってんだ…って
思い知らされた」



お兄ちゃんの家を出て

リョーちゃんが言った



「オレも家庭持てんのかな?
ユートが羨ましい」



しかも奥さんは

リョーちゃんの好きだった

珠莉ちゃんだもんね



「あ、先に言っとくけど
木々羅と結婚したかったとか
今更そーゆーこと言ってんじゃないよ
イト、すぐ聞くから…」



うん

そう思っちゃうよ



私には余裕も自信もないから



「リョーちゃん、誰かいないの?」



聞いた



「え、なにが?」



「…結婚するような、相手の人」



彼女ってことなんだけど

ストレートに聞くのが怖かった



さっきお兄ちゃんが聞いたら

冗談みたいなこと言ってたけど

ホントは、いるの?



リョーちゃんはタバコに火をつけた



待ってる間

息がつまった



「いないだろ
転勤、多いし…
なかなかこっちに帰って来れないし…」



リョーちゃんは苦笑いしてそう言った



ホントに?



よかった…って

ちょっと思った



ちょっとじゃなくて

いっぱい思った



「そーなの?
リョーちゃんモテるでしょ」



でも

まだ、嘘かな?って疑っちゃう



「そんな、ずっと待っててくれるよーな
都合のいい女、いないだろ」



言葉が交わるたび

呼吸が重くなる



リョーちゃん

ここにいるよ



もぉ20年以上待ってる



ただリョーちゃんが

私を選んでくれない



「ごめん、タバコ…」



リョーちゃんがタバコを消して

煙をはらった



タバコの煙のせいかな?

息がつまったのは

言葉が出てこなかったのは




目がしみるのも

タバコの煙のせいだよね