そうして本家から15分ほど歩いてつく分家は子供の足だと30分
ぐらいかかった。千夜様 どちらにおられますか?返事をしてください。千夜様ッ 必死に俺の名前を呼ぶカズハの声がした。カズハの姿を見かけ、俺は急に怖くなって泣きながらカズハの元に駆け寄った。カズハはおれを見かけると一目散に俺に駆け寄り、抱きしめた。
いったいどこにいかれていたのですか? カズハに内緒で 、心配したのですよ。もう俺をおいて行かないでください 悲痛の面持ちで俺に約束してくださいと言うカズハはいつものカズハじゃなかった。普段のカズハは、自分のことを 私とかカズハはとかとって言っていたけどこの時初めてカズハが自分のことを俺と言ったのを聞いた。
カズハ 、ごめんなさい。 もうしないから。俺はカズハにそう謝った。カズハは分家から去ることをこの時決めていたらしい。後に知ることになった。俺は8歳の時にカズハともう1人の世話係と共に分家を去った。つまり俺の味方は2人だったということ。生まれた頃からつまりカズハとともに俺を世話してくれた。名前は天音。来た時は16歳だった。つまりカズハと同い年である。透き通るような金髪にブラウンの瞳が綺麗な人だった。
腰まで届く長い髪の毛をよく
ひとつにまとめていた。天音は御条の分家の娘だった。分家の当主がたまたま旅行先で出会った天音の母親のメグさんと恋に落ちてそのまま結婚して天音が生まれたらしい。しかし天音の父は次男でもとより分家の当主にはなれない予定だったが長男がなくなり、継ぐことになってしまった。もちろんメグと、天音は当主が暮らす家で生活するはずが、当主の母親が反対し今すぐ別れるよう脅したらしい。そして、家格がつりあう令嬢を探し、当主と結婚させたのだ。メグと天音はそれから本家の使用人として暮らしていた。