こんな私でも貴方に愛されますか?

「マナちゃん!」

鼻水すすりながら歩いてると
名前を呼ばれて振り向くと

瑛人が走って追いかけてきた。


「一緒に帰ろう。
可愛いから襲われたら大変だろ?」


「な‥何言ってんのよ。
冗談に決まってるでしょ。」

自虐ネタなのに慌てて言い訳してる。

「あれ?そういう流れ?」

意外そうな表情にハッとした。

「もう店長いっつも頭きちゃうんだもん。」

店長に罪をなすりつける。

「マナと店長いいコンビだよね。」

瑛人が笑った。

「お子ちゃまだからね。
相手にするのも疲れちゃうもん。」


地下鉄の駅までもっと距離あったらな


瑛人ともっと二人で話したかったな。
背の高い瑛人のシャープな横顔を
盗み見み何回しただろう。


瑛人が来てからずっと瑛人のことばっか
考える自分に気がついた時

これは恋だと気がついた。


今までなんとなくいいなって思った
恋心だと思っていた数少ない経験が


実は恋とは言えないものだと
知った時 私の頭の中は瑛人で埋め尽くされた。

今日のバイトの話を
楽しそうにする瑛人に必死に受け応えするけど

いつもの私じゃないのは
自分でもわかるくらい。
大勢の中での私と
瑛人と二人っきりになった私


ヤバイ
混乱するくらい訳がわからなくなってる。


「マナ?」

「あ ごめんごめん。
なんか今日はつかれちゃって‥。」

「忙しかったしね。
マナでホールが回ってるもんな〜
店長の信頼もすごいしのもわかる気がする。」

「信頼?」

「店長の片腕って言われてるよ。」
瑛人が笑いながら言った。

「いやいや 勘弁してよ〜」

また店長に救われた。