「俺はお前がスパイだということはボスや組織の人間に話さない。その代わり、お前には俺の女になってもらう」

どうする?とタナトスは笑いながら訊ねる。この人は卑怯だ。私が何て答えるかをわかっているくせに……。

私は生きていたい。生きて幸せにならなくちゃいけない。それが母との約束。そのためなら、私はーーー。

「……わかりました」

私が答えるとすぐ、唇がタナトスの唇によって塞がれる。何度もキスをされて私は戸惑う。今まで彼にキスをされたことなんて、一度もなかった。

「愛してる、クラリス」

彼は本気で私を愛してくれていた。