後ろ手にそっとドアを閉めると、振り返った水樹くんが私を見た。
「あ、春田さんだ」
「あ、水樹くんだ」
二度目にここで会ったときと、同じように言葉を交わす。
でも胸は、あのときよりドキドキして、ずっと苦しい。
「……3日ぶり?」
「今日は水樹くんのが早かったね?」
「俺が毎日毎日告られてると思ったら大間違い」
両手を広げておどけるように言う水樹くんに、
「毎日毎日告られてるくせに」
同じように両手を広げておどけて言って、水樹くんの隣にそっと座ると。
水樹くんはしばらく黙って、少しまじめな顔をした。
隣から、私の顔をのぞきこむ。その特別な瞳で。
「春田さん、元気ない」