「あ、風香だー!」


凛と明るい白川先輩の声に呼ばれた。


ポニーテールを高い位置でむすんだ、どこまでも健康的にきれいでかわいい白川先輩は、満面の笑みで私に手を振ってる。


その隣には、当たり前のように五十嵐先輩がいて、ああ本当にお似合いだなあ、と思う。


ふたりそろって、歩みよってくれる。


到底明るく笑えるような気分じゃなかったけど、ふたりに心配をかけさせたくなくて、にっこり笑った。


「こないだは参考書、ありがとうございました!」

「いいよいいよー、てか五十嵐が王子に蹴散らされたって本当ー?」


白川先輩がにやにや笑って言うと、五十嵐先輩が白川先輩の頭を小突く。


「蹴散らされた言うな」