学校イチのモテ王子は、恋を知りたい




月曜日、お天気アプリの予報ははちゃんと曇りのまま。

空もちゃんと曇りだ。


「……あ、」


お昼休み、麗ちゃんとお弁当を食べようと鞄のなかをのぞいて声をだす。


「どしたの?」

「お弁当忘れた……!」

「まじで?はよ売店行っといで」

「うう、ごめん、先食べといてね」

「はいはい、気をつけてね」


普段は絶対忘れたりしないのに。

土曜の夜から、うかれてずっとぼんやりしているせいだ。

財布を持って教室を出て、売店に向かって歩いていると。


「うわあ、また王子さま、告られてんじゃん」


廊下から、中庭を見てた女の子が言った。


つられて顔を向ければ、中庭には水樹くんと女の子の姿がある。


ここからじゃ、さすがに水樹くんの表情はわからない。