表情を崩さない水樹くんに、私だけがしどろもどろして、ぐぐ、と眉をしかめる。
だめだ、言い逃れができそうにない!
「水樹くんこそ!」
「俺?」
「今日はどうしてこんな遅かったの!?」
強引に話題をそらした。
脈絡のない水樹くんのまね。
「ちょっと告られてただけだよ」
だから安心して、とでも言うように、水樹くんは私の頭に手を乗せる。
全然安心できるような出来事じゃないんですよ水樹くん。告白というのは。
やっぱり水樹くんって、ちょっとずれてる王子さまだなあ。
そう思ったら、ふふふ、なんだかやわらかい気持ちになって、笑ってしまった。
「なに笑ってんの」
水樹くんが不服そうに言って、私の髪をくしゃくしゃにする。
楽しくなって、声をあげて笑ってしまう。
そんな私を、水樹くんは困ったような顔で見つめる。
好きだよ、へんてこな王子さま。
言わないけど。言えないけど。


