水樹くんって本当、脈絡がないし、ずれてる。
「なんで笑うの」
「だめに決まってるのに、聞くから」
水樹くんの額にうっすら汗が浮いているのに気づいて、ポケットからハンカチを取りだし、ちょんちょんとこめかみあたりにあてると。
しゃがんでる水樹くんに、三角座りごと抱きしめられた。
ぱた、と手からハンカチが落ちる。
「……もういないかと思った」
頬に触れる水樹くんの首筋はあつくて、喉は声と一緒に震えてる。
シャツのやわらかなにおいと水樹くんのさわやかなにおいが混ざりあう水樹くんの胸のなかは、窒息死してしまいそうなくらい幸せな場所だった。
場違い、なのにな。


