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放課後、昨日と同じように人気のない校舎裏からこっそり屋上まで来た。
そっと開いたドアの向こうに、水樹くんはまだいない。
今日は私のほうが早かったみたいだ。
2人で座ってた椅子もなくて、広いコンクリートをうろちょろ探してみるけど、見当たらない。
どこにしまってあるんだろ。
しばらく探したけど見つからなかったから、しかたなくドアのそばの壁にもたれて座った。
昼間なんとか青さを保ってた空は、薄い雲に覆われて灰色。
スマホを眺めたら、いつのまにかもう30分以上たっていた。
水樹くんからの連絡はない。
今が夏だったらよかったのになあ。
三角座りのひざに、あごを乗せてぼんやり思う。
もしこのまま水樹くんが来なくても、陽が長いから待ってられるもん。
暗くなるまで、気がすむまで。


