学校イチのモテ王子は、恋を知りたい



私だって会いたいよ、晴れでも雨でも会いたいよ。

わかってる。

水樹くんの会いたい、は、私の会いたい、とは違う。


それなのに、心ではわかってるのに、体がよろこんでしまう。

……恋って、めちゃくちゃだ。


「会いましょう、か」


小さな小さな声で言って、そろり、水樹くんの顔を見あげたら。

満足げに頷いて、


「じゃー放課後ね」


それだけ言ってあっさりC組に帰っていった。


王子が一般庶民を訪ねたことで騒然としてる廊下からひきあげて、同じく騒然としてる教室に戻る。


「ちょ、今なに話してたの!?」

「春田さんって王子さまと仲いいの!?」

「春田たまのこしー?」


四方八方から声をかけられながら、麗ちゃんのもとへ辿りついた。