「俺じゃ不服?」
聞いてる水樹くんこそが不服そうな声をだすから、あわてて首を振る。
「そ、んなことないけど……」
うれしいけど、うれしくなっちゃうけど、あまりに突然だし、昨日のことだってあるし、みんな見てるし、なにこの状況……?
動揺がばれてしまわないように、参考書に目を落として聞く。
「あのそれで、用事ってなに?」
「昨日勝手にキスしたこと怒ってる?」
唐突に言われて、かあ、と顔が熱くなった。
昨日はなにも言わなかったのに、なんで脈絡もなく今こんなこと聞くのかなあ!?
「なんか我慢できなくてごめんね」
水樹くんは、ひとつも悪いと思っていなさそうにけろっと言う。
そんな、ついうっかり、みないな……。


