折れたモップや壊れたコピー機のひしめく薄暗いスペースをまっすぐ進むと、最奥に階段があらわれる。


のぼり続けて階段が終わると、踊り場にひとつ、さびれたドア。


鍵がかかってないらしいそのスライドドアの向こうには、青い空と屋上があった。


広がるコンクリートのその端に、なぜか椅子がひとつ置いてある。


教室で使うような、まったくノーマルな椅子だ。

彼はどさっと、倒れこむようにそこに腰かけた。


深くだらしなく、長い脚を投げだすように座ったその姿は、なんとまあ王子さま感0%。


淡いピンクの小袋を持った右手は、力なくだらんと垂れている。



……こんなところで、こんなことしていいの?王子さま。


ごくり、息を飲む。