「な、なんで水樹くんが持ってるの?」

「さっき五十嵐先輩から預かった」

「なんで水樹くんが預かったの!?」


「五十嵐先輩が春田さんのこと呼びだしてるの見えて、これ渡すつもりっぽかったから、俺も春田さんに用事あるんでよかったらかわりに渡しときますよって声かけたの」


「ええ……」

「じゃあ風香によろしく、とのこと。はいどうぞ」


水樹くんは滔々と説明して私に参考書を手渡すから、なるほどそういうことか。

って、いやいや納得できないよ。


「え、水樹くんって五十嵐先輩と知り合いだったの?」

「名前も存在も昨日知ったけど」

「んん?じゃあなんで声かけたの?」

「だから、俺も春田さんに用があったから」


……全然わからない理屈だ。

やっぱ水樹くんってちょっとずれてる。