憮然とした表情の水樹くんは、やってきた私をじっと見つめる。
「あれ、王子さっき教室戻ってなかった!?」
「こんな近くで見るの久しぶりでときめく……」
「てかなんでここにいんの?」
……なんでここにいるの!?
周囲ではしゃぐ女の子たちと同じことを思う。
心の準備なんて微塵もできてない私は、咄嗟に水樹くんから目をそらして言った。
「お、おはよう水樹くん!」
「昼だけど。おはよ」
「どうしたの?うちのクラスに用事?五十嵐先輩見かけなかった?」
見当たらない五十嵐先輩をきょろきょろ探しながら一気に聞けば。
「はい参考書」
なぜか水樹くんが、白川先輩の参考書を私に差しだして言った。


