「春田ぁー」


教室の前方からやってきたクラスメイトに声をかけられた。


「なに?」

「五十嵐先輩が来てんよー」

「あ、うん、今行く!ごめん、麗ちゃんちょっと行ってくるね」

「はーいよ」


本当は白川先輩から参考書を借りる約束をしてたんだけど、メッセージによると


<ごめん、昼行けそうになくなったから五十嵐に預けた!>


とのことで、五十嵐先輩が代理で来てくれたみたいだ。


自分でもらいにいこうと思ってたのに、悪いことしちゃったな。


口に放りこんでいたお米をあわてて飲みこんで、教室をぱたぱた走る。

なんか廊下がまたさわがしい気がするけどなんだろう、そう思いながらドアに向かえば。



「……え?」


なぜかそこには、水樹くんが立ってた。