渋い顔でそのさわぎを見送った麗ちゃんを見て、私は言った。
「……麗ちゃん。モテるっていうのは、ああいうことでございます」
「ま、まああれは別格として!でもあんたがそこそこかわいいのは事実だから!」
「フォローありがとう……」
「フォローとかじゃないって元気だして!」
全力フォローって感じがでちゃってるよ、麗ちゃん。
小さくため息をついて、おにぎりにかじる。
胸がずっとじんじんしていた。
頬に触れた水樹くんの手の力強さは、前と全然違った。
私のなかの、なにかを奪おうとするようなキスだった。
水樹くんはもう、私から全部奪い去ってるのにな。
これ以上奪われたら無一文になってしまうぞ。
ぼんやり考えていたら。