涙がでそうになって、あわてて笑顔をつくる。
「わかった?」
「うん」
「だからもう、言っちゃだめだよ」
「んー……」
水樹くんは、うん、とも、ううん、ともつかないように言って、それから少し目を伏せる。
長いまつ毛が、すべらかな頬に影をつくる。
双眼鏡を持ってないほうの手で、水樹くんは私の長い髪の先をそっとつかんだ。
「……どう、したの?」
胸が鳴って、ささやくような声になる。
「髪、風で揺れてた」
水樹くんの前髪だって、揺れてたよ。
「きれい」
瞳を伏せたままそんなことを言われて、心臓がバラバラになりそうだった。


