この学校の女子という女子がむかえる、1年に1度のXデー。

この学校の女子という女子が一斉に、勇気をだしてプレゼントを持って、彼に想いを伝える日。


でも悲しいことに、王子さまの体は世界にひとつしかないわけで。

目の前の水樹くん、大変お疲れモードの様子である。


無理もないよ。


朝から今まで、まるでツアーみたいに学校の敷地のあらゆる場所に呼びだされ続け、放課後の今、ついに校舎裏まで辿りついたところなんだから。


なんとか今日最終の告白を断り終えた彼は、小さく息をついてすたすた校舎裏を歩きだす。


校庭には戻らず、校舎裏の最南端まで迷いなく歩く。


【立ち入り禁止】と書かれたドアを開き、あきらかに裏口と思われるそこから校舎に入った。