フェンスに指をかけて言うと、双眼鏡を離した水樹くんが私を見て聞いた。
「……うらやましいの?」
「うーん、そうだね。白川先輩のことは、うらやましいかな」
「なんで?」
「なんでって……、とにかくかわいいし、優しいし明るいし、勉強できるし運動できるし」
水樹くんの恋の相手には、白川先輩みたいな人がいいんだろうなあ……。
そう思ったら、しゅんとしてきてしまう。
だめだ、隣に水樹くんがいるんだから。
楽しい気持ちで過ごしてもらわなくちゃ。
へへ、と笑って私は言う。
「まあ、うらやましがっても意味ないけどね?」
「そんなにかわいい?あの人」
「めちゃくちゃかわいいよ!」
「春田さんのほうがかわいくない?」
双眼鏡を目から離して、ガラス細工みたいな瞳で私を見据えた水樹くんが言った。


