「忘れてないよ!?」
「俺の存在忘れる女なんて春田さんくらいだわー」
「わ、忘れてないってば、あた……」
「あた?」
頭のなか水樹くんだらけだよ、とまで言ってしまいそうになって、
「あた、新しい発見はないかなあっと」
あわてて双眼鏡で地上を眺めたら、昇降口に見知った顔を発見した。
「五十嵐先輩だ」
思わずつぶやくと、水樹くんが、ん?とフェンスに乗りだす。
「五十嵐先輩ってだれ」
「ほらあそこ、スポーツバッグ持って昇降口歩いてる背の高い……」
「だれ?」
「え、見えない?」
「いや見えるけど、だれ?春田さんどういう関係?」
なぜか矢継ぎ早に聞いた水樹くんは、
「双眼鏡貸して」
と手を差しだしてくる。


