水樹くんから没収した双眼鏡を持って、私はふらりと立ちあがった。
「ん?どこ行くの」
「ちょっと景色を……」
屋上の端、フェンスまで歩いて下を見おろすと、運動部でにぎわうグラウンドと、花壇の続く昇降口が見えた。
地上の人が小さい。ここって結構高いいんだなあ。
双眼鏡を構えて、空を見あげる。
視界が、青。
雲ひとつない青空でいっぱいになった。
……きれいだ、すごく。
地上もこれで見てみよう、そう思って双眼鏡を構えたまま顔をさげたら。
「わああああああっ!?」
突然水樹くんがレンズに映ったから、大声をあげてしまった。
「春田さん、俺の存在忘れてたでしょ」
いつのまにか水樹くんは、私のすぐ隣に立っている。
座ってるときより、ちか、ちか、近い……!


