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「あ、春田さんだ」
放課後、ドキドキしながら屋上のドアを開くと、私より先に来ていた水樹くんが振り返って言った。
椅子に座り、なぜか小さな双眼鏡を顔に構えてこっちを見ている。
「あ、水樹くんだ」
水樹くんのまねをして言ってみたら。
水樹くんは顔から双眼鏡を離して、きれいな顔にほんの少しの微笑みを浮かべるから、心はたやすく奪われた。
「どうしたの?その双眼鏡」
「昨日もらったプレゼントのなかにあった」
「おもしろいプレゼントだね?」
「いつもこれで遠くから見てましたって、手紙に書いてた」
「な、なるほど……?」
首をかしげて苦笑いすると、水樹くんも軽く苦笑いした。
「双眼鏡で見られんのは慣れてるけど、もらったのははじめて」


