彼が告白される現場を見た日の夜は、うまく眠れなくなった。
明日もまた、寂しそうな彼の横顔を見るかもしれない。
それはいやだ。
でも明日には、笑ってだれかの手をとる彼を見るかもしれない。
それもいやだ。
ぐるぐる考えて、彼のことを想わない夜はなくなった。
話したこともない、目があったこともない、王子さまと呼ばれる男の子。
春が終わるころには、この感情が恋だって、気づいた。
それから約1年半、あたためるだけあたためて、どうすることもできなかった気持ちは今日、本当にどうしようもなくなってしまったけど。
「麗ちゃん。私やっぱり、水樹くんのことが好きだ」
『……風香』
「なに?」
『これから少しでもいっぱい、晴れるといいね』
麗ちゃんが優しく言ってくれるから、今日ずっと我慢していた涙が目ににじんだ。


