……この人が好きだなあ。


もう何度目だろう、そう思ったら笑いながら涙がでそうになる。


泣いちゃだめだ、今、こんなに楽しいんだから。

切ないけどちゃんと、うれしいんだから。

そう思って、鼻先の痛みに耐えていたら。


隣からのびてきたきれいな手に、きゅ、と鼻をつままれた。


「……寒い?」


急にまじめな顔で聞かれて、心臓が鳴る。


「……寒くないよ?」

「でも鼻、赤い」


それは、水樹くんが好きだから。


今見つめあったら、気持ちが全部伝わってしまう気がして、咄嗟に目をそらす。


でも、水樹くんは私の鼻に触れたまま、私を見つめ続けて。