学校イチのモテ王子は、恋を知りたい



「プレゼント受けとってもらえた派閥と、受けとってもらえなかった派閥で女子がもめにもめて。見かねて仲裁入ってくれた俺の友達、女子にやられて怪我するし。女子の溝さらに深まるし。そこからいろいろ拗れて、一時期まともに授業もできなくなった」


ザッツイズ学級崩壊。と、水樹くんは最後に言った。

ありありと想像できる。


そしてまた、C組のロッカーの上のプレゼントの山を思い出した。

……そういう事態をふせぐために、もらってるんだ、全部。


「大変だったね」

「まーね」


他人ごとみたいに相槌をうつ水樹くんは、前髪を風にそよがせ、長いまつ毛を伏せて言った。


「わかんないんだよねー」

「……なにが?」


「泣いたりわめいたり、無暗にだれかに怒ったり、わざわざプレゼント作ったり買ったり。そういうエネルギーが、どっからわいてくんのか」