「や、いただけないよ」
「クッキーきらい?」
「きらいじゃないけど。……ねえなんでクッキーってわかるの?」
淡いピンクのその小袋は、透明じゃない。
まだ開けられてもない。
「重みと感触でわかんの。甘い匂いするし。このパターンはクッキー」
水樹くんは言って、かわいらしくラッピングされたそれを容赦なく開ける。
親指と人差し指でつまんだ1枚のクッキーを、得意げな顔で私に見せた。
「ほらクッキー」
クッキーそのものを自慢してるんじゃなく、クッキーだと言い当てたことを純粋に自慢しているようだ。
かわいい。かわいすぎる。
普通なら絶対に見られない無邪気な一面に、また胸がきゅんとなる。
「もらい慣れてるんだねえ、プレゼント」
つぶやいたら、きゅんとしたばかりの胸がまたすぐに痛くなった。


