な、なんでこんなときに鳴るかなあ……!?
恥ずかしい、消えたい、聞こえたかな、聞こえちゃったかな……?
そろり、水樹くんを見ると、水樹くんはそのきれいな顔でじーっと私を見つめて。
「おなかすいてんの?」
ストレートに聞いてくるから、私は真っ赤な顔で首をぶんぶん振った。
聞こえなかったふりするとか、あえて笑いとばすとか!
そういうフォローはしないタイプなんだなあ、王子さま!
「ぜ、全然すいてない、大丈夫!」
あわてて言うと、水樹くんはさっきもらったばかりのピンクの小袋をつまんで聞く。
「これ食う?」
胸がきゅんとした。
水樹くんは、食うっていうんだ。
食べる、じゃなくて、食うって。
ああ、こんな小さな発見にときめいてたら、心臓がもたない。
そしてそれは、私が食べるわけにはいかない。


