学校イチのモテ王子は、恋を知りたい



ふられた私は、ほかの女の子と同じようにただ走り去ることしかできないだろう。


そして彼はまた、ひとり立ちつくすはめになる。

寂しげな顔で、ため息をついて。


そんなのはいやだった。

そんなのは本末転倒だ。


そんなことになるくらいなら、この気持ちはしまっておくべきなんだ。


もうずっと前に、結論はでていた。


諦め悪く、クッキーなんて焼いてきたのが悪かった。

今日だけ。

そう決めて、こんなところまでついてきたのが悪かった。



泣きだしそうな気持ちをこらえて、最後の言葉を探す。

だけど伝えたい言葉なんて、好きです、それしか本当はない。


でも言えないから、言えないなら、笑って。


「ではまたどこかで会いましょう!」


できるだけ爽やかに片手をあげて、ドアに手をかけたら。