「……見つけて、くれたの?」

「ごめんね」

「ううん、ううん」


泣きながら必死に首を振る私の汚れた右足を、水樹くんは優しくつかむ。

そして大きくてきれいな手で、私の足にそれを履かせた。


「買いかえようね」


水樹くんが静かに言うけど、私は首を横に振る。


「ねえ、水樹くん」


だって。



「ガラスの靴みたい」



世界でたったひとりの王子さまが見つけだしてくれた、どろんこの上履きが。


なにより輝いて、きれいに見えた。



水樹くんはなぜか放心したみたいな顔で、放送室の地面に腰を落とす。


あぐらをかいた水樹くんは、私のひざにこてん、と顔をうずめて言った。