さっきの眼鏡のふたり組は、いつのまにか放送室からいなくなっていた。


機械のすぐそばの、さっきまであのふたりが座っていた椅子のひとつに水樹くんは私を座らせて。


濡れてるけど、と、自分のブレザーを脱いで私の肩にかけてくれた。


さっき屋上のドアの前でしたように、私の前に片膝をつく。


「水樹くん、好き」


伝えたりなくて、水樹くんのつむじに向かってつぶやいた。


「ん、俺も好き」


かすかに笑って私を見あげた水樹くんの手には、なぜか私の上履きがある。


やっぱりどこかに捨てられてたんだろう、それは汚れてくたくたになってる。