「……水樹くん、濡れてる」
「だれかさんのこと探しまわってたしね」
「……すみません」
「春田さん、王子にもの投げちゃだめでしょ」
「ごめんなさい」
「でこ痛いし許さない」
「ごめんなさい、水樹くんが好き」
抱きしめられたまま、もう我慢できなくて言った。
水樹くんの体から一瞬だけ力が抜けて、でもすぐ、さっきより強く抱きしめられる。
「……痛いよ、春田さん」
耳元で水樹くんが言うから、おでこ命中しちゃったもんなあ、そう思って。
「ごめんね」
私の肩にうずめられた水樹くんのおでこに触れようと手を伸ばしたら、そっと手を掴まれて。
「そこじゃない、ここ」
そのまま誘導された先は、水樹くんの胸のあたり。


