水樹くんは、目を丸くして私を見る。
機械の前に立っている水樹くんの両脇には、椅子に座った知らない男の子と女の子。
ふたりも水樹くんと同じように、眼鏡の向こうの目を丸くして私を見てる。
「春田さん、足速すぎじゃない?」
水樹くんが言った。
どこから来たと思ってるの?王子さま。
「だって、すぐそこにいたんだもん」
泣き笑いして言ったら、瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
体が浮きそうなほど、強く強く。
はじめて水樹くんの胸のなかで、涙をこぼした。
ああ、ずっと、こうして抱きしめられたかった。
水樹くんのやわらかい髪が、頬にあたって冷たい。


