学校イチのモテ王子は、恋を知りたい



「放送部のミスかしらねえ?」


先生がぼそり、言う。

ようやくがやがやと、雑音が聞こえてきたかと思えば。





――なに、もうこれいけてんの?



水樹、くん、の、声?



――もう流れてる流れてる!

――がんばれ王子!



知らない男の子と女の子の声が、小さく聞こえて。




――あー……、聞こえますか、春田風香。




びっくりして涙が止まった。

なにしてるの、水樹くん。



――俺だよ、わかる?聞こえる?



こくんとうなずくと、私の背中をさすってた先生が目を丸くして私を見る。


水樹くん、わかるよ、聞こえる。




――まだ学校いんなら聞いて。


ここにいるよ、聞いてるよ。