どうせ、私のこと守ろうとしたんだ。
どうせ、責任感じて。
そんなのが欲しいんじゃないのに。
もう好きにしたらいいんだ、水樹くんなんて。
「私のこと好きなくせに」
絶対絶対、好きなくせに。
私だって好きなのに。
……どうしてうまくいかないの?
止まっていた涙がまたでてきて、
「あらあら」
保健室の先生が困ったように笑って私の背中に手をそえてくれるから。
う、う、と声をあげて、子どもみたいに泣きはじめてしまう。
そのとき。
――ピンポンパンポン、ピンポンパンポーン
のんきな音が、天井付近のスピーカーから鳴った。
「あら放課後に放送なんて珍しいわね」
先生がスピーカーを見あげて言う。
ひっくひっく、しゃくりあげながら、私もスピーカーを見あげる。
でも、なにも聞こえてこない。


