「なんかいろいろあって、こんなことになっちゃいました」
「座って、とりあえずはいタオル!」
「ありがとうございます」
丸椅子に座らせてもらって、タオルで顔や首を拭く。
「その顔は、いじめってよりは青春ねえ」
着替え着替え、とジャージを探してくれてるらしい保健の先生が言った。
敗戦後のボクサーみたいに、頭にタオルをかけた状態で私はつぶやく。
「……好きな人と、喧嘩しただけです」
「そりゃ盛大な喧嘩ねえ、お相手はどんな子なのよ」
「すっごくかっこいいのに、すっごくわからずやなんです」
「わからずや?男なんてみんなそうよ?」
「でもだからって、ほかの子と付き合うなんて言います?」
「本気じゃないのよきっと」
「わからずやだから、本気で言ってるんですよ」


