「放課後も放送ってできんのかな」
ふたりは顔を見あわせて、俺を頭のてっぺんからつま先まで見つめて。
「まず濡れてんの拭いたら?」
「まず土足だめっすよ王子!」
一斉に言うから、張りつめていた気持ちが途切れて、思わずははっと笑ってしまった。
あー、ほんとだ俺、靴も脱いでないわ。
ちょっと意識飛んでたなこれ。
ごめんごめん、と笑ってローファーをぽいぽい脱ぐ。
「ついでにごめん、ちょっと放送の仕方、教えてくんない?」
見たことあるけど触ったことなんてない機械の前で、言うと。
「……いいけど、なんで?」
ぽかんとしてる男子の横で、女子のほうが眉をしかめて聞いてくる。
俺はにっこり笑って答えた。
「好きな子に、ちょっと愛を」


