そんなことに戸惑ってる俺なんて、おかまいなしで春田さんは。
かわいいなんて、言っちゃだめだって。
『水樹くんが、いつか出会うたったひとりの好きな女の子のために、言うための言葉だからだよ』
『水樹くんとその子のための、言葉にするべきだからだよ』
まじめな顔で、そんなこと、言ったけど。
目の前のきみが、そんなことバカまじめに伝えようとするきみが、俺にとってそのたったひとりの女の子だって、わかってたよ。
恋だって、教わらなくたってわかってたよ。
だれかを自分のものにしたいって、生まれてはじめて思ったよ。
でもそれ以上に。
笑っててほしい、笑わせてあげたい、笑顔が見たいって。
キスしたのも抱きしめたのも、ただそれだけの気持ちで。


