「たぶん、はい」
「つーか、俺の知名度ってどうなってんの?ぶっちゃけ」
「……軽く全校生徒には。ぶっちゃけ」
「誕生日まで?」
「はい、王子なので」
「俺、ふつーに一般家庭だけどね」
「……ぶっちゃけ?」
「うん、ぶっちゃけ」
水樹くんは不愛想に言って、椅子の上でぐーんとのびをした。
王子さま王子さま、ともてはやされる彼のオフショットに、思わず目をそらす。
視界の端で、秋風がそよそよと彼の髪を揺らしていた。
「ねーみ」
そうこぼす水樹くんは、いつものきれいな顔で淀みのない声で、だけどすっかり力が抜けてる。
ゆるい水樹くんは青空にとても似合っていて、ちくんと胸が痛んだ。
胸の痛みが思い出させる。
私は水樹くんに、恋をしてるんだ。
これ以上ここにいたら、自然体な彼を見たら、もっと好きになってしまう。


