『バカなの水樹くんは!?』 春田さんは泣いた。 いつも俺の前で笑ってた春田さんが、泣いて怒って投げつけた小さい箱。 それは何度ももらったことのあるような、なんの変哲もない箱。 『水樹くんのこと好きな私が、水樹くんの誕生日に作ったクッキー』 五十嵐先輩を好きなはずの春田さんが、言った。 拾いあげたその小さな箱の四隅は、丸まっているから気づく。 ああ、何度も何度も握ったんだ。きっと。