靴下のまま走っていってしまった春田さんを探して、雨の校庭を駆けまわる。


春田さんの靴をどうにかしたのが、誰かなんてわからない。

桃井さんかもしれないし、そうじゃないかもしれない。


でも、誰がやったかなんてどうだっていいんだ。

俺が誰かにそうさせて、俺が春田さんを悲しませた。

それだけが事実で。


それなのに春田さんは、強くて優しい春田さんは、


『水樹くんは、悪くない』


俺を抱きしめて、そんなこと言うから。


そんなこと言ってくれる女の子は、はじめてだったから。

どうしても守りたいと思った。



桃井さんと付き合えば、春田さんのなにかひとつでも守れる気がして。

笑っててほしくて、なのに。