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お天気アプリの予報は全然外れない。
窓の外では、ずっと雨が降っていた。
「風香、帰ろっか?」
帰りのホームルームが終わって麗ちゃんが声をかけてくれる。
今日1日、私の様子がおかしいこと、きっと気づいているのになにも聞かずに、ただ優しく接してくれた麗ちゃんに笑って首を振った。
「今日、ちょっと学校残るね」
「でも風花……、雨だよ?」
「……麗ちゃん」
「うん?」
「水樹くんが私のこと好きかもしれないって、言ったら笑う?」
麗ちゃんは一瞬おどろいた顔をして、それから微笑んで首を振る。
「気持ち、伝えるの?」
私も微笑んでうなずく。
「思いあがりでも、ふられてもいい。どうせずっと、隠しておけるものじゃないんだよね、恋は」
「うん、そうだね」
「ねえ、麗ちゃん」
「うん?」
「……彼女になれなくても、そばで笑わせてあげることはできるかなぁ?」
微笑んでいたのに、涙がでそうだった。
そんな私を、麗ちゃんはぎゅっと抱きしめてくれる。
「その気持ちだけで、笑わせてあげられる」
強い声で言ってくれるから、涙はでなかった。


