何度も何度も、これは自分の思いあがりだって、言い聞かせて夜が明けた。
でも考えれば考えるほど、霧が晴れてすべてがつながるようで。
水樹くんは、私が水樹くんのことを好きじゃないと思ってる。
そんな水樹くんが、私のことを好きだとしたら。
キスも、抱きしめたのも、私のことが好きだったからだとしたら。
『春田さんは、好きでもない男と付き合える?』
私のことを好きだから、あんなこと聞いたんだとしたら。
全部、辻褄があってしまう。
もしこれが思いあがりじゃないなら。
それは、まるで水樹くんそのものみたいに、なんて、
なんて、まっすぐな、恋なんだろう。
どうして気づかなかったんだろう。


