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夜ご飯は、喉につっかえていつもの半分も食べられなかった。
心配するママに笑顔を見せて、いつもより早くお風呂に入り、ベッドに横たわる。
テレビを見る気にもならない。
どんなことも相談できる麗ちゃんにも、電話をしようとは思えなくて。
<ジャージ、見つかりましたか?>
勇気をだしてメッセージを送ったけど、水樹くんからの返信はなかった。
もう何度目だろう、お天気アプリを開く。
何度確認したって、明日は、雨。
ベッドサイドのチェストには、あの日渡せなかったクッキーの箱がずっとある。
自分では、食べることも捨てることもできなかった。
もう、きっと悪くなっちゃってるだろうな。
目に涙がにじむ。
寂しい顔、させたくなかった。
ひとりきりにさせたくなかった。


