恋ってそういう、わがままだよ。
水樹くんにも、いつかわかるよ。
「俺のどこがいいのかさっぱりわかんねーわ」
水樹くんはなぜか投げやりに言う。
「いいとこいっぱいある」
「勉強も運動も、別に努力してるわけじゃないし」
「そうかもしれないけど」
「顔だけの男だよ」
「そんなことない」
「そんなことある」
「そんなことない!」
思わず大きな声で言って、振り返ろうとしたら。
「じゃーなんで、春田さんは俺のこと好きになんないの」
それより先に、水樹くんに後ろから抱きしめられていた。
いつかの、あのキスみたいに強引に、力強く。
「み、ずきく……」
上手に呼吸ができなくなる。
「春田さんは、どうやったら俺のこと好きになんの」
耳元でささやかれて、背筋がぞわりと粟立つ。
水樹くんの触れてる場所、ぜんぶが熱い。


