「こういう忙しくてイライラする時って、オーソドックスなわかめと豆腐の味噌汁飲みたくなるのよね」
 そもそも味噌汁が〝わたし的ソウルフード〟だから、この世界のみんながホッとする味とは限らないけど、いいんです! 私が飲みたいんだからいいんです! 大事なので二度言いました。まあ、みんなも味噌汁を美味しいって飲んでくれるしね。今日は味噌汁とサティーバおにぎりを握っておきましょうか。おにぎりは、賄いにしろおやつにしろ、忙しい時でもワンハンドで食べられるから、こういう時にもってこいだと思うんです。作るものを決めたら調理場の端っこをちょっとお借りして、せっせと作りました。
「今日の賄いは味噌汁と、サティーバおにぎりです。作っておいたので、食べてくださいね」
「なんか作ってると思ったら、賄い作ってたのかい。ありがとね。ライラも忙しいだろうに」
「いえいえみなさんに比べたら」
 隙を見てトープさんに賄いのことを伝えておきました。そして、いつもの休憩テーブルに味噌汁の入った寸胴と、山ほど握ったおにぎりを積んでおきました。『お疲れ様です。今日の賄いです。お手隙の時に食べてください』と、メモを添えて。そして肝心の自分の分ですが、寸胴にはたくさん作っておいたけどきっとなくなると思うので、私の分はお出汁だけを取っておいて、冷蔵庫に確保しておきました。食べる時に温めて味噌を入れるだけの状態です。これで食いっぱぐれることはないでしょう。