「楽しそうにしてるとこ邪魔するぜ〜。腹減ったから何かない?」
 そこにヒョイっと顔を出したのは、バーガンディーさんです。まあ大体いつも、夕食の準備をしている時間に顔を出すんですよね。
「おやつがありますよ〜」
「お、いただこう。マゼンタは食ったんか?」
 今日の休憩用に焼いたクッキーを載せたお皿を渡すと、バーガンディーさんはマゼンタにも食べるように勧めました。
「私はもういただきました。まったく、いつも忙しい時間に邪魔しにきますね」
 さっきまでの砕けたモードから、いきなりスンと真顔に戻るマゼンタ。呑気に話しかけてくるバーガンディーさんとは対照的に、マゼンタはいつも塩も塩、粗塩対応です。
「ていうか、マゼンタとバーガンディーさんって、いつの間に仲良くなってたの?」
「いや、仲良くなってないわよ。どこ見てるの」
「ん〜? バーガンディーさんは仲良さげだよ?」
「なんか勝手に懐かれたというか、気に入られたというか……。ライラがいなかった時期に、怪我していたバーガンディー様を見つけて手当てしてからこうなったのよ」
「ちょっと血がたくさん出ちゃってたからな〜。あの時、マゼンタが通りがかってくれて助かったぜ」
「ちょっとどころの騒ぎじゃありませんでしたよ! まったく」
 マゼンタはちょっとツンデレさんなところあるからな〜。どんな大怪我かは知らないけど、きっと必死に手当したんでしょう。そしてそこでバーガンディーさんが見染めた、という感じかな。スプルース様は、このことを知っていてのツッコミだったのかしら?