「練習も本番も、余がそばにいる」
「あら。では、なおさら失敗しないように頑張らないと」
「ライラはすぐに頑張りすぎる。あまり気負いすぎるな」
「ありがとうございます」
「辛くなれば、いつでも休め」
「その時はティア・モーブに逃げ込みます。ふふ」
「できれば厨房くらいで勘弁してほしいのだが……」
「あら、でもティア・モーブで新しいお料理を思いついたりするので、竜王様にもメリットありますよ」
「ふむ、それもそうか」
「でしょう?」
「まあ、よい。そういえば、ライラは厨房で今まで通りに呼ばれているらしいな」
「どきーっ。誰情報ですか、それ」
「バーガンディーだ」
 そりゃそうか。バーガンディーさんてば、しょっちゅう厨房に顔出してますもんね。
「今まで通りに接してもらえるのが、ストレスの解消にもなってまして——」
「フォーンにバレないように気をつけろ」
「はい!」
 竜王様、黙認ですね。ありがとうございます!
「バーガンディーは、ほんと、厨房によく行くよね。気になる子でもいるんじゃないの」
「そんなことねーよ」
「ふうん」
 スプルース様の指摘をしれっとかわすバーガンディーさんだけど、私、ちょっと心当たりあるぞ〜。