『建国記念式典』なるものの詳細は、次の日のお勉強時間にクリアになりました。いつもならフォーンさんだけのところ、ウィスタリアさんも説明係として参加しています。
「ライラ様が竜王国に来られてからは、初めての建国記念の日になりますね」
「ああ……そうですね」
 色々ありすぎてもう数年はここにいた気分だったけど、私が竜王国に〝落ちて〟きてからまだ一年も経ってなかったのね。ウィスタリアさんの言う通り、初めての建国記念日です。
「竜王国の歴史についてはすでに勉強しているので割愛しますが、その、初代竜王様が『ここを竜王国とする』と宣言した日をもって、建国記念日としています」
 なるほど、メモメモ。これは明日のテストに出そうです。
「その日、国内の貴族たちが言祝(ことほ)ぎに竜王城にやってまいります。全員が揃ったところで、祝宴が開かれます」
 なるほど。昨日ウィスタリアさんとトープさんが話していたのは、この祝宴のことだったのね。しかし『言祝ぎ』て。かなり古風な感じですね。
「一般庶民は『竜王城詣で』をした後、町中でお祭り騒ぎをしています」
「なんですかその『竜王城詣で』というのは」
「一般庶民は竜王城には入れないので、正面の門の外からお城に向かって言祝ぎするのです」
 それはまるっきり初詣やんか〜い。お賽銭を投げ入れない初詣と理解しておきましょう。
 とりあえず建国記念の日の流れは理解しました。しかし肝心なことはここからですよね。
「その行事に、私はどんな感じで参加するんでしょうか?」
「言祝ぎの行事には、竜王様のみがお出ましになられます。ライラ様は、その後の祝宴に参加することになります」
「国内のお貴族様たちが参加するんでしょう? 見たことのない『誰だこいつ』みたいな私が参加したら違和感しかないと思うんですけど」
「ライラ様については『竜王様のお妃候補』、もしくは『竜王様の特別なゲスト』として紹介する予定でございます」
「まだ完全に話し合えていませんので、どちらにするかは未定です」
「どちらにしても、身分とか出自とか——」
「その辺りはしっかり作り上げて(・・・・・)おきます。ライラ様はその設定を、完璧に演じるだけでございます」
「は、はいっ!」
 キャラ設定してくれるんですね。女優さんになった気分で頑張ります。