翌朝。お願いしていた時間に、シエナとクラレットが起こしにきてくれました。
「おはようございます。よくお休みでしたね」
「夢も見ずに爆睡ですよ」
 ほんとによく寝た。寝てから起きるまでが一瞬のような気さえしています。シエナが開けてくれたカーテンから、眩しい日差しが入ってきました。いい天気だなぁ。きちんと片付けられた部屋で目覚めるって、ほんと清々しいわ。——あれ? ちょっとした違和感を感じました。
 私、昨日、服を片付けたっけ?
 脱ぎ散らかしたままお風呂に入って——上がって、そのまま寝た、よね? じゃあ、脱ぎ捨てた服は何処? バッとお風呂の方を見たけど、床は綺麗さっぱり何も落ちていません。ドレス消失事件!? ——違うよね。
「あの〜、ちょっとお聞きしたいことが……」
「なんでございますか?」
「昨日の服って……どうしました?」
「片付けておきましたよ?」
「わぁぁぁぁぁ!!」
 一気に目が覚めました。自分で片付けるとか言っといて、放置して寝ちゃって、メイドさんのお仕事増やしちゃってるなんて!! そのまま華麗にスライディング土下座をキメました。
「お行儀悪い上に片付けさせてしまってごめんなさい!!」
「いいえいいえ、そんな、これが私たちの仕事ですから」
「とにかく、起き上がってくださいませ」
 慌てた二人に抱え起こされました。
「今度から、どんなに疲れていてもちゃんと服を脱いで片付けてからお風呂に入ります!」
「お疲れでしたもの、気になさらないでください」
「気にしますよ〜。お行儀も悪いですし」
「まあ、それは……」
 苦笑されたけど、否定されませんでした。この綺麗な部屋を『汚部屋』にしないって、ここにきた初日に思ったのに。勉強やお仕事は頑張れたけど、あ〜あ、私のダメな部分が出ちゃったわ。これからは部屋でも最低限の気は使わなくちゃね。